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インタープラグ/漫画家とファン

八神 はいはい・・・じゃあ、明日の2時に原稿を取りに来るってことで。分かりました。もうホワイトも入れたんですぐにでも出せますよ・・・いやいや、締め切りを守るのは漫画家として当然ですから。はい。それじゃあ失礼します〜。(ピッ)

綿谷 し、失礼します。こちら、お冷とお絞りでございます。御注文お決まりでしたらボタンでお知らせください。

八神 はいどうも。

綿谷 ご、ごゆっくりどうぞ〜。


綿谷 お、お待たせしました。ご、ご注文承ります。

八神 ・・・えっと、チキンドリアの洋風セット。あと、食後にホットコーヒーお願いします。

綿谷 か、かか、かしこまりました〜・・・。(ジー・・・)

八神 ん?どうされました?

綿谷 あ、あの違っていたら失礼なんですけど・・・八神さん・・・?八神さんですよね?

八神 え?あぁ、はい。そうですけど・・・。

綿谷 うわぁ!すごい!!初めて見ちゃった!本物だ〜!!

八神 ・・・あ、僕のことを知ってくれてるんですね。ありがとうございます。

綿谷 すごいなぁ〜!握手してください!

八神 あぁ、それくらいならいいですよ。(ガシッ)

綿谷 ありがとうございますっ!うわぁ〜!すごいな〜!この手は当分洗えないよ〜!

八神 いや、ファミレスの店員さんなんだから洗ってくださいよ〜。ははは・・・。

綿谷 あ!そうですね!それではお持ちしますので少々お待ちください!

八神 はいはーい・・・僕の顔知ってくれてるのか・・・いや、ファンがいるって言うのはうれしい事だな・・・さてと・・・読み切りのアイデア考えないとな・・・。









綿谷 失礼します!こちらセットのサラダとパンでございます!

八神 はいどうも・・・あの、ちょっとお尋ねしたいんですけど・・・。

綿谷 はい何でしょうか!?

八神 ・・・僕のこといつ知ってくれたんですかね?

綿谷 えっと、確か6年前ですかね?

八神 6年前・・・結構前ですね・・・。

綿谷 へへへ〜・・・あ、私のほうからも質問させていただいてよろしいですか!?

八神 え?な、何ですか・・・?

綿谷 うちのファミレスによく来られるんですか?私、先週からバイト始めたばかりでよく分からないんですけど・・・。

八神 ん〜、たまに来る感じかな〜・・・アイデアが煮詰まったりした時とか、単純に腹が減ったときとかにね。

綿谷 そうなんですか〜・・・これからもよろしくお願いします!

八神 うん、ありがとう・・・ん?









八神 ・・・。

綿谷 失礼します!こちらチキンドリアでございます。

八神 あぁ・・・どうも・・・ん〜・・・。

綿谷 ・・・あの、どうされました?

八神 あのさ、俺のこと6年前から知ってくれてるんだよね?

綿谷 ええ!その時からのファンです!

八神 ・・・でもさ、その時って俺まだデビューしてないんだよね。

綿谷 え?

八神 俺が読み切りの「サングラス和尚けんれん」を掲載してもらったのって、4年前なんだよな。

綿谷 ・・・。

八神 それなのに、6年前からって、多分勘違いしてない?

綿谷 あの・・・「サングラス和尚けんれん」って何ですか?

八神 ・・・は!?俺のデビュー作だよ!知らないの!?いま同じタイトルで連載してるのに!

綿谷 ・・・連載?小説家さんですか?

八神 は?違うけど・・・?

綿谷 あの〜・・・私、八神さんのファンなんですが・・・連載ってどういうことですか?

八神 ・・・いやいやいや・・・俺の書いた漫画のファンなんでしょ?

綿谷 ・・・え!?八神さんって漫画家さん何ですか!?

八神 ・・・!?

綿谷 そうだったんですか〜!私、八神さんのファンなんですけど、新しい一面を知れて嬉しいです!

八神 ・・・は!?お前・・・は!?え!?どういうこと!?

綿谷 いやいや!さっきから言っているじゃないですか!私は6年前からの八神さんのファンなんです!

八神 ・・・そ、それって俺の漫画のファンじゃないってことだよな!?

綿谷 漫画については知りませんでしたが、きっとファンになると思います!

八神 ・・・え!?じゃあファンって何!?俺の何のファンなの!?

綿谷 何っていうか・・・顔とか、声とか、雰囲気とか・・・八神さんのファンです!

八神 ・・・ストーカーじゃねえか!

綿谷 ち、違いますよ!ファンです!一ファンなんです!

八神 怖いよこれ!?見ず知らずの男が俺の顔とか、声とか、雰囲気が好きって・・・怖っ!!おかしいってこの状況!?

綿谷 た、確かにおかしいですよね・・・ファンを名乗っておいて、職業を知らないだなんて・・・。

八神 そこじゃねえよ!これってファンっていう言い方で当たってるのか!?

綿谷 ファンですよ!僕、八神さんが1985年9月23日生まれ、今年で30歳、埼玉県出身、身長170センチ、体重63キロって言うのを知っています!

八神 は、はぁ・・・。

綿谷 小中高とサッカー部に所属、高校三年の時県大会準優勝を果たしたけど、決勝戦での怪我が原因でサッカーを引退したのを知っています!

八神 ・・・。

綿谷 あと、最近の趣味はランニング、好きな食べ物ハンバーグで先日3年付き合っていた恋人と別れたっていうのを知っています!!

八神 改めて言いたい事があるんだけど。

綿谷 な、何でしょうか?

八神 ストーカーじゃねえか!!

綿谷 だからファンなんですって!何度も言わせないで下さいよ!

八神 何度も言わせるような事実に直面してるからだわ!!個人情報駄々漏れじゃねえか俺!!

綿谷 漏れて何かないです!僕が個人的におっかけているだけです!

八神 それが怖いんだってば!!!恐怖でしかない!!

綿谷 で、でも僕は過激派のファンじゃないです!!家に押し掛けたり、いたずら電話かけたりしてないですよ!?

八神 ・・・住所も電話番王も知ってるの!?嫌だ!この人怖い!!

綿谷 あ、サイン頂いていいですか?(色紙を取り出す)

八神 このタイミングで何でもらえると思ったんだよ!?

綿谷 お願いします!悪いようには使いませんから!!

八神 悪用の仕方は分かってるのかよ!?誰か助けて!!

綿谷 お願いしますよ〜!

八神 絶対に嫌だ!もう帰る!!

綿谷 住所をツイッターに載せますよ?

八神 やめてくれ!分かったよ書くよ!!(サラサラ)あんた十分過激派じゃねえか!

綿谷 ありがとうございます!うわあ〜!これが夢にまで見た八神さんのサインか・・・!・・・この端っこの落書きなんですか?

八神 俺の漫画のキャラクターだわ!「サングラス和尚けんれん」のけんれんだわ!!

綿谷 ふ〜ん・・・。

八神 何度もサイン書いたけどこんなにキャラクター描いて喜ばれなかったことはないぞ・・・。 綿谷 バイト終わったら向かいのブックオフ行ってみますね!

八神 ファンなら新品で買ってくれよ・・・。

綿谷 あ、すみません他のお客様呼んでいますのでこれで。ごゆっくりどうぞ〜。

八神 ・・・あ、ここファミレスだった・・・もう完全に忘れていた・・・何かもう・・・疲れた・・・。









八神 お会計お願いします。

綿谷 はい、ありがとうございます。(ピッピッピッ)

八神 ここには他の店員さんいねえのかよ。

綿谷 お会計1020円でございます。

八神 はい、ちょうどで。

綿谷 ありがとうございました!またお越しくださいませ!

八神 もう来ねえって言うかすぐにでも引っ越すわ・・・。

綿谷 あ、最後に一つだけいいでしょうか?

八神 ・・・なに?

綿谷 ・・・下の名前何て読むんですか?

八神 なんっか・・・ぬぁあ!?





バニーガール/肝試し

爽雄 爽雄です。

陽子 陽子です二人合わせてバニーガールですよろしくお願いします!!

爽雄 今日はよく喋るな。

陽子 今度、友達と一緒にキャンプに行くことになったの!それで、夜に肝試しでもやろうって話になってるのよね!

爽雄 肝試しか〜。苦手な人は本当に苦手だよな。

陽子 まあ、本物のお化けなんか出てこないと思うんだけど、それだと退屈だからみんなには内緒で私と友達何人かでが怖がらせる演出を考えているんだよね!

爽雄 あぁ、こんにゃくぶら下げたり、幽霊の格好とかしたりするわけだ。

陽子 ちょっとそのプランをここで発表するからおかしいとこがあったら教えてほしいな!

爽雄 分かりました。

陽子 まず、開始時間は夜の9時。おそらくあたりは真っ暗でしょう。

爽雄 結構ガチな感じだな。

陽子 まず、くじ引きで順番を決めます。2人1組になってもらおうかなって思ってるの。

爽雄 1人だと流石に怖すぎるかもしれないしな。

陽子 まあ、無事2人のまま戻ってこさせる気はないんだけどね。

爽雄 怖っ。

陽子 10分ごとに各組がスタートするようにして、懐中電灯を配ります。

爽雄 それが無いと困るよな。

陽子 多分電池切れかかってるやつも混ぜておくよ。

爽雄 タチ悪いな。最初から電池切れているのよりも嫌だなそれ。

陽子 1組目が出発する前に友達が簡単にルートを説明、その間に私は驚かせポイントへ。

爽雄 ここで準備するわけだな。

陽子 ルートはキャンプ場から5分くらい歩いた所にある神社、ここにお札を置いておきます。各組はそのお札を持ってきてもらいます。

爽雄 そう言うルートなのね。

陽子 しかし、道中様々な困難が待ち受けているのよ・・・!こんにゃくとか。

爽雄 そこだけ聞くと全然怖くなさそうだな。

陽子 まず林道を歩いて行くと、こんにゃくが120個つり下がっています。

爽雄 あれだ、恐さのベクトルを間違えてる。却って怖くねえよ。

陽子 おでんから出したて。

爽雄 怖い上であぶねえなそれ。リアクションし過ぎて死にかねねえ。

陽子 その後、人魂が参加者を驚かせるよ!

爽雄 ああ、人魂みたいな花火とかあるもんな。

陽子 いや、このためにイタコさんを連れてくるから。

爽雄 ガチか。わざわざキャンプ地に連れてくるなよ。

陽子 って言うかキャンプ地が恐山だからね。

爽雄 まさかのイタコさんのホームグラウンドだった。

陽子 人魂を楽しんで頂いた後、いよいよ神社に到着するよ!

爽雄 口寄せを何と勘違いしてるんだ?

陽子 ここで幽霊の恰好をした私の恰好をまねた友達が登場します。

爽雄 ・・・お前も幽霊の恰好はしているのな。

陽子 もちろん!

爽雄 やらねえの?その格好で裏方に徹するの?

陽子 私は裏方で生きるタイプだと思うんだよね。

爽雄 だとしたらこの仕事向いてねえな。

陽子 お札を見つけて取った瞬間に、幽霊の恰好をした私の恰好をまねた友達が後ろから肩を叩く!

爽雄 お、それは怖そうだな。

陽子 私の。

爽雄 意味ねえなおい。

陽子 その後通ってきた道を戻ってもらいます。

爽雄 あのイタコとこんにゃくの群れの中をまた通るのかよ。

陽子 そして、次の組がスタート!

爽雄 怖いかこれ?

陽子 イタコ男。

爽雄 怖っ。何かイメージと違った。老婆かと思ってた。

陽子 そういう先入観は良くないわよ!

爽雄 そうかもしれないけどさ。まあこのプランだったらある意味忘れられない思い出になりそうだよな。

陽子 ただ、問題が1つあるんだよね・・・。

爽雄 ・・・1つですんでいると思っているのか・・・因みにどの部分が不安なんだ?

陽子 いや、内容については特に不安視していないんだけど。

爽雄 マジでか。

陽子 あれなのよね、参加組数がたぶん100組くらいになるから大分かかると思うんだよね〜・・・。

爽雄 ・・・。

陽子 どうすればいいと思う?やっぱりコースを少し短くする必要があったりするかな〜?

爽雄 企画その物をやめといた方がいい気がするんだが・・・。

陽子 えぇ!?そんなぁ!?

爽雄 大体何で200人規模でキャンプやろうってことになったんだよ?

陽子 最初は私と友達と友達の友達の三人で行こうってことになってたんだけど、どんどん話が広がって、気づけば・・・。

爽雄 つながりが凄いんだか何なんだか・・・それだけの人数の予定があうのが奇跡だな。

陽子 もはや誰が主催なのか分からなくなっているよ!

爽雄 ・・・お前が言いだしっぺなんだよな?

陽子 それに今更やめるわけにはいかないのよ!こんにゃくはうちの冷蔵庫にスタンバっているし!

爽雄 一番必要ない物をいの一番に準備しちゃったのはなんなんだよ。

陽子 あ、友達の友達の友達が「男子中高生にあげれば困らない」って言ってたけどどういう事かな?

爽雄 そいつ今度教えてくれ取りあえず殴っとくわ。

陽子 それくらいの年頃の男の子ってこんにゃく好きなの?

爽雄 まあ・・・人によるんだろうな・・・あ〜何とも答えづらい。

陽子 イタコのお爺さんもキャンプに行くって言ったら張りきってたし!

爽雄 何か下ごころを感じるなじじい。

陽子 「お前らに口寄せしちゃうぞ〜!」って言ってたよ。

爽雄 何で知り合いなのか分かんねえけど縁を切った方がいいぞマジで。

陽子 お札も人数分、無くしたら困るから倍印刷しちゃったし。

爽雄 却って罰あたりだなそれ。

陽子 今から楽しみなんだけど、爽ちゃんくる?

爽雄 ・・・更に人数増やそうとしてどうするんだよ?

陽子 肝試し楽しみにしててね!

爽雄 ・・・全部落ち分かってるから怖くねえよ

陽子 そうだね〜・・・それじゃあその後に百物語やろうと思うんだけど・・・。

爽雄 多分その時間になったらもう朝だよな。しかも二百人いるから回らないやついるし。

陽子 とりあえず蝋燭買ってくるね!

爽雄 いや大概にしろ。

二人 ありがとうございました。





カッターズ/脱退宣言
山尾 ・・・実は俺・・・バンド辞めようと思うんだ・・・。

竹下 ・・・え!?

辻田 ・・・嘘だろ?

山尾 ・・・だから、後は二人で武道館に立つっていう夢、叶えてくれよな・・・。

竹下 ちょっ・・・待ってくれよ!いきなりそんなこと言われても納得できねえよ!どうして辞めるなんていうんだよ!?

山尾 どうしてって・・・俺達なかなか売れないしさ・・・いつまでもこのままやっていくのが正直不安なんだよ・・・。

竹下 そんな・・・。

辻田 ・・・不安なのは、僕も竹下も同じだよ。でも、少しずつだけどライブの観客も増えてきているし、今辞めるのはもったいないと思わないか?

山尾 それに、俺、音楽の才能無いし・・・二人でやってた方が絶対いいと思ったんだよな。

竹下 ・・・。

辻田 ・・・。

山尾 後さ、実家の家業も継がないといけないし・・・。

竹下 それが理由だったら、俺が親父さんと一緒に頼み込んでやるよ!俺たちのやってきたことをいくらでも話すからさ!

辻田 ・・・。

山尾 それに、俺、音楽の才能無いし・・・二人でやってた方が絶対いいと思ったんだよな。

竹下 ・・・。

辻田 ・・・。

山尾 この間のライブのMCだって、アンケートに「何を言っているのか分からなかった」って書かれてたしさ・・・。

竹下 俺は山尾のMC好きだぞ!確かに少し緊張して早口になったりするけど、すごく愛着が沸くというかさ!

辻田 別のライブのアンケートには「演奏もよかったけど、ボーカルのMCがすごく面白かった」って書いてあったよ?

山尾 それに、俺、音楽の才能無いし・・・二人でやってた方が絶対いいと思ったんだよな。

竹下 ・・・。

辻田 ・・・。

山尾 そこで黙るなぁぁぁ!!!!!

竹下 え!?

山尾 何なの!?お前ら何なの!?俺が辞めるの止める気あるの!?

竹下 どういうこと!?

山尾 何で「将来が不安」とか「MCが苦手」とかだと色々励ましてくれるのに何で「才能が無い」って言ったら黙るんだよ!?

竹下 そ、それは・・・あれだよ!中々実際どういえばいいか分からないって言うかさ!ほら、将来が不安なのは3人同じって言えるし、家業についても実際に親父さんを説得するとか具体的な対策があるじゃん!

山尾 そうかもしれねえけどさ〜・・・それだったら俺のボーカルとギターの腕前褒めるとかあるじゃんかよ〜!

竹下 いや、でも山尾がギター始めてからまだ1年ちょっとだよね?

辻田 正確には僕がメンバー入りしてからだからまだ1年経ってないよ。

竹下 1年足らずじゃあ才能があっても開花するとは思えないし・・・現時点のスキル考えても才能があるかどうかわかんないよ・・・。

山尾 何その冷静な意見!?俺と竹下は小学校のころからの付き合いじゃねえかよ!!才能の有無って言うか色々分かるだろ!?

竹下 うん・・・でも辻田が加入するまでの5年間って山尾の担当トロンボーンだったじゃん・・・。

辻田 あれはあれで目立ってたけどな。

山尾 だろ!?そうだろ!?俺は中学の時初めてトロンボーンを手にしてから去年までの間ずっとトロンボーンやってたんだよ!!それなのに二人の音楽性を尊重してギターにコンバートしたんだぞ!?

竹下 それは感謝しているよ。ロックバンドなのにギターがいないって陰口たたかれてたのを解決できたわけだし。

辻田 ギターって言うかボーカルもいなかったからね。まあ、おかげで3ピースバンドになったわけだ。それなのに辞めたら今までの努力が水の泡だぞ?

山尾 で、でも、俺、音楽の才能無いし・・・二人でやってた方が絶対いいと思ったんだよな。

竹下 ・・・。

辻田 ・・・。

山尾 だから!変わってねえじゃんかこれだったら!もうこの齢になったら自分に何が向いているかくらい分かるって!俺はギター向いてねえんだって!!引き止める気ねえのかよ!?

辻田 ・・・無いよ。

山尾 ・・・え!?

竹下 ちょ、辻田・・・!

辻田 竹下はどうか分からないけど、僕は山尾が辞めてくれてかまわないよ。

山尾 な・・・なんだと・・・!?

辻田 山尾以上の実力があって、どのバンドにも入っていないギタリストなんてごまんといるよ。それに、竹下だってこの1年でツインボーカルをやってたんだし、別に僕は困らないよ。

竹下 何てこと言うんだ!

辻田 僕は竹下の演奏に惹かれてメンバー入りをしたんだよ。正直山尾は金魚の糞みたいなものさ。

山尾 ・・・さてはお前、俺がさっき「実家の家業継ぐ」って言ったとき無言だったのも引き止める気が無かったからか!?

辻田 っていうか、何の店をやってるのか気になったよね。

竹下 山尾の実家はケーキ屋さんなんだよ。

辻田 ・・・何か、別にいいんだけど・・・イメージと違った・・・。

山尾 ・・・。

辻田 ・・・ケーキ屋を継ぐって言うのも、人生の上で立派な選択肢だしさ、いい親孝行になるんじゃないか・・・?

竹下 ・・・。

辻田 だから、俺と竹下が武道館に立つっていう夢叶えるよ。うん、じゃあ、お疲れっ。

山尾 あぁ分かったよ!!それがお前らの本心なんだろ!?だったら地元帰ってやるよ!!じゃあな!!!

竹下 ま、待ってくれよ!山尾!!!

山尾 な、何だよ!?止めたって無駄だかんな!!?

竹下 ・・・俺・・・やっぱり無理だよ・・・山尾のギターは下手だとおもうけど、バンドマンってそれだけじゃないだろ!?演奏するときに、一緒にやっててよかったって思えるやつとバンドやりたいんだよ!!二人にしないでくれよ!!!

山尾 ・・・竹下・・・お前・・・!

竹下 ずっと二人でやってきたじゃないか・・・俺とお前は、1番の親友だろ・・・?二人にしないでくれよ・・・。

山尾 ・・・。

竹下 ・・・山尾がいなきゃ、俺も辞めるよ・・・。

山尾 ・・・え?

辻田 ・・・竹下?

竹下 ・・・俺、辻田と二人でやっていけねえよ・・・。

辻田 ・・・え?

山尾 ・・・な、何言ってんだよ竹下!?

竹下 俺・・・辻田のこと・・・大っっっっっ嫌いなんだよ!!

山尾 ・・・えぇ〜!?

竹下 だってそうだろ!?打算的で売れることしか考えてないし、これまで二人でやってきたのに無理やりメンバー入りしてくるし、やりたい音楽のジャンルを押し付けてきたし、お前の役割無理やりギターにしたり、僕もボーカルやれって言うし・・・そんなやつと二人じゃ出来ねえよ!!!!

山尾 で、でもお前と辻田のセッションはすごくいいと思うぞ!?贔屓目なしでも十分通用する演奏だと思うんだけど!?

竹下 通用するしないはさておき、僕はやりたくない!山尾と一緒にケーキ屋継ぐ!

山尾 いや、他人だよ!?付き合い長いけど他人だよ!?お前ケーキの作り方しらねえだろ!

竹下 一から勉強する!だから二人にするのやめてくれ!!

山尾 そんなに嫌か辻田と二人が!!

竹下 嫌だ!!!!!

山尾 声出てるな〜!どんな曲を歌うときよりも声が出てるな〜!

竹下 だから山尾辞めないで!!

山尾 で、でも、俺、音楽の才能無いし・・・二人でやってた方が絶対いいと思ったんだよな。

竹下 ・・・。

山尾 あーあ!結局ここは一緒なんだ!そんなに嫌なやつとやるのが嫌なんだったら嘘を付いてでも俺に才能があるっていってくれると思ったのに!!

辻田 ・・・才能あるよ。

竹下 ・・・え!?

山尾 辻田が久しぶりに喋った!あんなに悪口言われてたのに・・・!

辻田 山尾にはギターとボーカルの才能に溢れかえっている・・・実は僕がメンバー入りした言って思ったのは、山尾の才能に惚れ込んだからだ。

山尾 辻田・・・お前・・・!

竹下 嘘だ!!絶対思ってない!!さっき山尾より上手いギタリストなんてごまんといるって言ってたくせに!!

辻田 照れ隠し、照れ隠し。

山尾 かわいいやつめっ!

竹下 山尾だまされないで!!照れ隠しでも普通金魚の糞って扱いはしないよ!お前無能なんだよ!ギターの才能って言うか弦楽器が向いていないよ!

辻田 お前もお前で結構口悪いな。

山尾 こうなったら俺は続けるしかないな・・・。

竹下 続けるの!?この嘘にまみれた説得で続けるの!?お前のギターの腕前何にも解決してないのに!?

辻田 お前はどうするんだよ?竹下。

竹下 逆に聞くけどお前は辞めないの!?散々僕にボロカスに言われたのに続ける気なの!?

辻田 僕は、売れたい。

竹下 打算的だ!やっぱりお前のこと嫌いだわ!!

山尾 よし、それじゃあ次のライブに向けてあわせるぞ!MCも練習させてくれ!

竹下 ・・・まあ、山尾が辞めないでくれてよかったかな・・・。

山尾 よし!メンバー紹介!ギターボーカル、俺ぇ!(ジャカジャカジャカジャカ・・・ジャン!)

竹下 やっぱりあんまり上手くない・・・。

山尾 続いてカスタネット!辻田〜!!

辻田 (タンッタンッ)

山尾 最後にトロンボーン!!竹下〜!!

竹下 (ブォー!)・・・やっぱ俺ら売れないんじゃねえか?





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