バトルロワイR/3DP |
小比類巻:いや〜 今日も架空の怪獣を考えて見せ合う会は大盛況ですな〜 長曾我部:ホンマやね〜 いっぱい近所の男の子が参加してくれてるしなぁ。 しかも俺の考えた怪獣は最強だー!だの、俺の考えた怪獣は30秒で地球を破壊できるぞー!とか 物騒な事を言っているものの可愛げがあんねん。 小比類巻:それに怪獣のデザインも、ちっちゃい子どもだから結構エグいのとかカッコいいのとか様々で良いですな〜 こいつとか目の前にいたら気味が悪すぎて吐いちゃうかもですぞ〜 グゲンカ星人:クッハッハッハッハ! 地球人共よ、なかなか面白いことをしているではないか。 長曾我部:なっ!? どこからか謎の声が!? だっ誰や……! グゲンカ星人:吾輩は 人間の発想を何でも形にすることができるグゲンカ星人だ。 貴様らが考えた怪獣とやらを 目の前に召喚してやろう。感謝するがいい! 長曾我部:なっ、嘘やろ!? そないな事したらどうなる思てんねん! 皆それぞれの最強の怪獣やぞ! 架空の怪獣やからゴリゴリに強さ盛ってんねんで!? グゲンカ星人:フハハハ。吾輩に感謝するが良い。"架空"が"カタチ"になるんだからな! 小比類巻:ひえ〜、この世の終わりですぞ〜! 炎を吐かれますぞ〜! 踏みつぶされますぞ〜! 食べられますぞ〜! 怖いですぞ〜! グゲンカ星人:じゃじゃーん! どうだ、架空の怪獣ガールズだぞ!!!!! 長曾我部:……は? グゲンカ星人:まずはこのカエルの着ぐるみの女の子! これはツヨシくんが考えた「かえ龍」がモチーフだぞ! 長曾我部:いや、なに勝手に擬人化しとんねん! グゲンカ星人:続いてこのアヒルの着ぐるみの女の子! これはタクヤくんが考えた「アヒ龍」がモチーフだぞ! 長曾我部:しかも擬人化の中でも、よりによって萌えキャラ化て! グゲンカ星人:続いてこのビニール袋を着た女の子! これはゴロウくんが考えた「ビニー龍」がモチーフだぞ! 長曾我部:普通は怪獣をそのまま具現化して、世界を恐怖に陥れるやろ! 何でも擬人化すりゃええわけちゃうぞ! グゲンカ星人:続いてこのルールに縛られた女の子! これはシンゴくんが考えた「ルー龍」がモチーフだぞ! 長曾我部:おい、もっと分かりやすい擬人化しろ! なんだルールに縛られた女の子って!普通の子じゃ! グゲンカ星人:続いてこの お弁当にパイナップルを入れてきた女の子! これはマサヒロくんが考えた「パイナップ龍」がモチーフだぞ! 長曾我部:さっきから謎の「る攻め」やめろ! しりとりで勝とうとしてる奴か! あと男の子たちはドラゴンをカッコいいと思って取り入れてんねん! 龍の要素も拾え! 龍を活かせ! 小比類巻:ハッ! 男の子たちが皆 うずくまって苦しんでますぞ〜! まさか見た目は可愛くしても、怪獣に盛った強さや特殊能力はそのまま!? クソッ、見た目に騙されてはいけなかったですぞ〜! 何が起きてるんだ〜 って、興奮しちゃって股間おさえてるだけかーい! こら〜〜〜!!! 長曾我部:グゲンカ星人め! どうしてくれるんだ! グゲンカ星人:くっ地球人共よ。悪かったな。お詫びにグゲンカ星人の力を分け与えてやろう。 これがワシらの使う一種の神器、3Dプリンターだ。 長曾我部:いや、3Dプリンターで作ってたんかーい! もうええわ! |
ひろたか/架空請求の電話 |
高田:架空請求詐欺の電話やってみたいから、ちょっと聞いてて。 広川:と言われましても。聞くけど。 高田:「もしもし、架空架空。」 広川:なんだそりゃ。オレオレ詐欺みたいになってるけども。 高田:「勤めてる架空の会社で架空の横領しちゃってさ。」 広川:職についてないし、架空の横領なら特にピンチにはなってないな。 高田:「あと、架空の上司の架空の女を抱いちゃってさ。」 広川:架空の女抱くのはただの妄想だな。 高田:「それでとにかくお金が必要なんだ!」 広川:今のところ架空の話でしかないのに、金をせびられても… 高田:「まだあるんだ。架空の車で、実在の人を轢いちゃったんだよ…」 広川:いやどういうことだよ。架空の車でどうやって本物の事故起こすんだよ。 高田:「ほらオレ、架空の自賠責保険に実在の保険料を振り込んじゃってるじゃん?」 広川:知らんけど、ん…どゆこと?どゆこと? 高田:「だから本当に金がないんだ…」 広川:もしかしてだけど、それ君が架空請求に騙されちゃってない? 高田:「お願い!今から架空の口座を言うから、架空のお金を振り込んでくれないか?」 広川:架空の口座には振り込めないよ!?そして架空のお金でいいの!? 高田:「4」 広川:………架空の口座かな!?架空の口座、一桁なのかな!? 高田:以上、架空の詐欺の話でした。 広川:(高田に膝架空んする) |
青西瓜/スーパー架空請求くん |
やぁ、スーパー架空請求くんだよ、とにかく架空請求したくてたまらない人間だよ、 もう今日こそは架空請求してやるんだ、そう思うだけで緊張して手が震えるけども、えずいて髪がなびくけども、 1回髪がなびく度に白髪だけ抜けていくけども、結果、白髪だけなくなって黒く染めたみたいになるけども、 今日こそ架空請求して儲けてやるんだ、うちはワルの家系なんだ、なんせ江戸幕府を倒幕したワルの家系なんだ、 江戸時代を壊して、新時代を作るなんて相当ワルでしょ、うちの家系、あんなに安定していたのに、江戸時代、 僕は歴史を後々から見た者として、絶対江戸時代のままのほうが良かったと思うもん、最低の家系だよ、うちは。 だから僕も最低になるんだ、脱いだパンツにハチミツ垂らして、御神木の根元に詰め込んだこともした、 脱いだパンツを甘くなるまで煮詰めたモノをハチミツとして、 そのハチミツを脱いだパンツに垂らして、御神木を囲む白い紙みたいな紐とそのパンツを交換したりもした、 その時は神社のババアに怒られたなぁ、褒めたら百円くれるババアとして有名な神社のババアだったけど、 この時ばかりは「世が世ならドリル!」と泣き散らし、笑っちゃったなぁ、汗かくほど笑っちゃったなぁ。 でもこんな善行ばかりしてられない、僕と共に50人が大笑いしていたから善行で間違いないけども、 こんな善行ばかりしてられない、ちゃんと架空請求というワルをやってやるんだ、よしっ、まず文章を考えよう。 『この架空請求にお金を10万円振り込んだら、百円あげます』 ……あれ、何だろう、神社のババアみたいになってしまった、別の文章を考えよう。 『貴方は何か使いましたね、日々何か使っていますね、それ私のです、今貴方が使っている何かは私のなのです、 弁償してください、私のなので、弁償してくれたら百円あげます』 ……また最後の一文が百円あげますになってしまった、何かどんな文章を考えても最後こうなりそう……そうか、 僕の心の中は既に、神社のババアでいっぱいなんだ、僕を形成する主成分は既に神社のババアだったんだ、 そうだよな、いっつも褒めては百円もらってるもんなぁ、昨日だって、一昨日だって、あの日だって 「世が世ならドリル!」 「ドリルで大発掘スペシャル! 神社のババアならば! 神社のババアならば!」 「はい、百円」 ……これが今日までの僕の集大成だ、この文章を受け入れよう、神社のババアのメアドに送信……っと。 |
放浪鴎/ほらー おらおらおらおら やってきた 金属バットもってきましたよ |
山本「すいませーん。こちらで仕事を紹介していただけると聞いて来たんですけど……」 高橋「ではですね、あなたにぴったりな職業を斡旋いたしますので何か履歴書というか、得意な事やアピールポイントを教えていただけませんか」 山本「そうですねえ、細かい作業が割と得意ですね。肉体労働というか、体力系はちょっと……なんですけども」 高橋「なるほどなるほど、……はい、こちらのお仕事など如何でしょうか。おっさんの指の関節に赤いマジックで線を引く仕事」 山本「嫌です。なんの仕事なんですかそれ」 高橋「朝の8時半に指定された部屋に入ってもらいますと、おっさんがズラーッと並んでいますので、そのおっさん1人ずつに赤いマジックで線を引いて貰うという仕事なんですけど」 山本「それで世の中の何に貢献出来るんですか。っていうか雇用主どこなんですか」 高橋「ああ、すいません。これ僕の頭の中だけにある職業でした」 山本「会って2分くらいだけどさてはおめえ頭おかしいな。ちゃんとした仕事紹介してください」 高橋「そうですねえ……あ、コレなんでどうでしょうか? ライン工なんですけど、スイッチを押すと四角いやつが流れてくるんで、その四角いやつをいい感じにやっちゃって、たまにお茶を飲んで貰うという職業なんですけども」 山本「全行程が謎っすね。え、なんですか? 四角いヤツ?」 高橋「四角いやつです。たまにヌルッとしてるんですけど」 山本「なんなんですかそれ。気持ち悪すぎるでしょ。え、何のためにするんですかそんな仕事」 高橋「……あっ、すいませんこれも僕の頭の中だけにある職業でした」 山本「仮にそうだとしたらもっとディテール細かいところ詰めてくれよ。なんであらゆる部分が謎に包まれてるんですか。お茶を飲む事だけ伝わってきたんですけど」 高橋「あ、じゃあこれなんかどうですか? 朝8時半に指定された部屋に入ってもらって……」 山本「それさっき言ったおっさんのやつだろ。あのちゃんと仕事したいんで、ある職業紹介してもらっていいですか?」 高橋「あ、じゃあこれなんかどうですか。警備員なんですけど」 山本「あっ急にちゃんとしたの来た。ずっと立ってるやつですよね。時間にもよりますけど」 高橋「あの朝8時半にですね、指定された国道をさきいかの大名行列が通りますので、それを警備していただくという仕事なんですけど」 山本「あ、俺の知ってる警備じゃねえ。っていうか、俺の知ってる大名行列じゃねえ。なんださきいかの大名行列って。あるなら見てえよ。もういいです、帰ります。多分それも頭の中だけにある職業だと思うんで」 高橋「バレちゃいました?」 山本「バレるよそりゃ」 ナレーション「……都内公園。彼らは毎日ここへ通い、2人でこのような会話をして時間を消費している。成績優秀、名門大学を卒業してもなお、仕事に恵まれなかった彼らを変えてしまったものとは一体何なのか、現代日本の闇に深く斬りこむシリーズ『ドキュメント2018』。第一回のテーマは就職氷河期 〜働けない若者たち〜。彼らの姿は、明日の我々かもしれません」 高橋「これ僕の頭の中だけにある職業でした……これ僕の頭の中だけにある職業でした……これ僕の頭の中だけにある職業でした……」 |
霜山寛治/箱根旅行記 |
「お金はないけど箱根に行きたい。箱根に行きたい。お金がかからない箱根に行きたい。箱根に行きたい」 霜山寛治の日課はそう絶叫しながら部屋の中で2000個のクラッカーを鳴らすことだった。 何もしてないけど疲れる日々に疲れ、運動不足で全身にコリが溜まっている彼は、箱根の温泉に浸かり何もかも洗浄したいという願望を持っていた。 箱根への思いを強烈に膨らませながら海老名市で暴れ狂う欲求不満な毎日。しかしある日、そんな霜山に転機が訪れる。 それはクラッカーが引火してアパートが全焼した夜のことだった。ヘロヘロになりながらも宇都宮まで逃げた彼はそこで巨大な施設を見つける。そこに大きく掲げられていた看板には、「箱根真理教」と書いてあった。 その文字を見て霜山寛治は扉を開ける。すると二千万人の人間が座禅を組みながら「ハコネ、ハーコネ、ハコネハコネ、ユモトユーモト、ヒガ、エリ、オン、セン、センセンセン」と念仏を唱えている姿が目に映った。 後に聞いた話だが、ここは箱根に行きたいが理由があって行けないという人間が集まりその傷を癒すという宗教団体だった。信者の数は全国で二千万人いる。そんなに箱根に行きたい奴がいたのか。 そしてこの光景は、みんなが仲良く平和に幸福に暮らすことができる理想の箱根を、教祖の力を借りながら生み出そうとしている最中だったのだ。 なんて素晴らしい団体だと霜山寛治は感動し、是非自分も入団させてほしいと頼むと、奥に居る教祖の場所に連れて行かれた。 「よくぞ海老名から参った霜山寛治。さあ、共に我々の理想の箱根を生み出そうじゃないか。何か聞きたいことはあるか、私に何でも聞いてくれたまえ」 教祖である箱崎という男はそう言った。彼はここにいる二千万人の中で唯一箱根に行ったことがある人間だった。そりゃあ崇められるに決まっている。霜山は思い切って教祖の言う理想の箱根とはどういうものかを問いかけた。 「決まっている。温泉が止めどなく湧き上がり、誰もが日々の疲れを感じさせない世界だ。これは私が実際に見た箱根から思い描いた理想の世界だ」 その答えを聞いて、霜山は腑に落ちなかった。そして思わず信者を吹き飛ばすような大声で言葉を返してしてしまった。 「教祖。それは間違ってます。架空の箱根を作るなら、本物のビジョンは必要ありません。完全なる架空の箱根を作るべきです!」 箱崎は大きく目を見開いた。霜山の言葉があまりにも衝撃的だったのか、口から温泉のような液体を吐いて死んでしまった。その箱崎の座っていた椅子に霜山が座り、二千万人の信者の前で叫んだ。 「これからは皆、箱根を知らない事を恥じなくていい。自分たちだけがイメージする都合のいい箱根を信じて、オリジナルな箱根を作り上げよう!」 そして二千万の雄叫びが上がってから三十年、ついに理想の箱根が誕生した。 その箱根には鎌倉大仏があり富士山があり兼六園があり築地市場があり東京タワーがあり東京ディズニーランドがあり台東区がありブックオフとサンクスがあり、とにかく色々あった。しかも無料だった。 その箱根はあまりにも美しすぎるので、信者だけでなく、日本中全員がその箱根を見て跪き、拝め、手を合わせ、涙を流した。しかも無料だった。 霜山寛治は日本中から神と崇められた。そして教祖爆誕30周年記念パーティが行われた。そこでは昔の彼に因んで、アホみたいにデカいクラッカーが鳴らされた。 その音圧で霜山寛治は吹っ飛んだ。かなり長い距離を飛び、温かい水の中へ落っこちた。 「おやあ、こんな時間にお客さんかね。どうかね箱根の温泉は」ふくふくと太った女将が温泉の中の霜山寛治に言った。しかし霜山寛治は浮かない顔をしていた。 「これは、なんだ?こんなものは私の創造の中に無いぞ。気味が悪い。帰らせてもらう」そう言って霜山は無表情で湯から上がってしまった ああなんてことだ!霜山寛治は架空の箱根を思うがあまり、本物の箱根を理解することが出来なくなってしまったのだ! もうあの日あの部屋の中で思い描いた理想には二度とたどり着けない。哀れな霜山寛治!彼の念願の箱根温泉は、湯冷めもしないまま通り過ぎてしまった……。 |