クロスソウル

(キキー・・・ドガーン!!)





八神 ・・・な、何が起こったんだ・・・?

綿谷 あ、あのぉ〜・・・すみません。

八神 え?あ、はい・・・何でしょうか?

綿谷 あの・・・間違ってたらすみませんなんですけど・・・つい先ほど・・・僕が歩いてた所に車が突っ込んできまして・・・。

八神 え・・・あ!そ、それって黒い車ですか!

綿谷 そ、そうです!一瞬のことだったから良く分からなかったけど、その車に、その・・・撥ねられた・・・んでしょうか?

八神 ・・・あー!思い出した!す、すみません!!その車運転していたの俺なんですよ!!大丈夫ですか!?お怪我はないですか!?

綿谷 いやいやいや!僕の方こそ車が来ないと思って道路横切ってて・・・怪我は・・・ないですね・・・。

八神 そ、そうですか・・・で、でも一応こういう事故だから警察に連絡しないといけないですよね。

綿谷 そ、そうですね。え〜っと・・・ケータイケータイ・・・。

八神 あ、いいですよ僕の方から連絡します。確か、車の中だ・・・あ・・・。

綿谷 どうしたんですか・・・あ・・・。

八神 ・・・え〜っと、あのボンネットがぺしゃんこになってる車って・・・。

綿谷 そうですね・・・多分僕を撥ねた車ですね。

八神 イコール、俺が運転していた車ですね。

綿谷 ・・・そんで、その横の・・・何て言えばいいのかな?横たわってる?あれは・・・。

八神 ・・・多分、俺と、貴方の体ですね。

二人 ・・・見るも無残だ。

八神 これあれか〜・・・俺と貴方はいま幽体離脱っぽい状態なわけだ。

綿谷 ・・・そう言えば、僕達足が無いっすね。

八神 中々重大な見落としだったな。

綿谷 これってあれっすよね?元に戻らないとヤバいパターンですよね。

八神 そんな気はするっすけど・・・正直・・・戻りたくはないなあ。

綿谷 確かに・・・確かに・・・うわぁ、見てくださいよこの辺・・・ちょっと・・・内臓見えちゃってますよ・・・。

八神 うわっ!グロっ!!!グロっ!!!これはやばい!!見たくない!!!

綿谷 あの・・・申し訳ないんすけど・・・貴方から体に戻ってくれます?

八神 いや無理でしょー!!これは怖すぎるでしょー!!ってか戻れる保証もないし!

綿谷 いや、そこをなんとか!お願いします!このまま助けを呼ばずして死ぬのは嫌だぁ!!

八神 た、確かに良く見たら二人とも虫の息だ・・・じゃ、じゃあちょっと行ってきます。どうすればいいんだろう・・・?

綿谷 何かこう・・・背中からのしかかる感じで?

八神 なるほど・・・(スゥー・・・)・・・い・・・あ・・・ぐぁ・・・・・・!!

綿谷 ・・・。

八神 ふぐぅ・・・っぐあぁ・・・!!!(スゥー・・・)いや無理無理無理無理!!

綿谷 あ、戻ってきちゃった!

八神 今見たっしょ!?痛みのあまり特に行動起こさずに離脱しちゃってっからね!?

綿谷 なんなんすかこの体たらく!ちゃんとやってくださいよ!!

八神 じゃあ、ちょっと1回入ってみ!?めっちゃ痛いから!めっちゃ痛いから!!!

綿谷 2回も言った!そ、そんなに言うなら僕もやってみますよ・・・!

八神 気をつけて!

綿谷 よっし・・・(スゥー・・・)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

八神 ・・・。

綿谷 ・・・・・・・・・・・・・・・・・(スゥー)・・・恥ずかしながら、帰ってまいりました!

八神 だしょ!?俺の言うとおりだっただしょ!?

綿谷 だしょて!・・・まぁ、僕は痛みって言うか、暑さも寒さも何も感じなかったっす。

八神 俺よりヤバい状態になっちまってるな!?

綿谷 感覚がないって言うのはあの事なんすね・・・あ、でもそれだったらまだ感覚のある体の方がまだ動けると思うんすけど・・・。

八神 ・・・何かまるで俺の頑張りが足りねえみたく言ってねえか?

綿谷 いや、そういうつもりじゃないっすけど・・・。

八神 じゃあ、ちょっと俺の体入ってみてくれよ!絶対に何もできねえから!!

綿谷 ・・・え!?これって他の人の体に入っちゃって大丈夫なの!?

八神 駄目ってことはないでしょ?うん、入れちゃうものは入れちゃうと思うんだよね。さっきも特にコツとかなく入れたし。

綿谷 そうは言ってもな〜・・・。

八神 このままだと二人とも犬死だ!頼みますよ!

綿谷 そ、そこまで言うなら入りますよ・・・貴方と・・・合体したい!

八神 霊体的な意味でな。これは何エリオンだよ。

綿谷 (スゥー・・・)・・・いたっ!痛たたたた!!!痛い!!超痛い!!!助けて!!誰か助けて!!

八神 ・・・。

綿谷 痛い!!無理無理!やっぱキツい!!ぐぁー!!(スゥー・・・)

八神 あ、戻ってきた。

綿谷 いったぁ〜!!!超痛い!何あの体!バカじゃないの!?

八神 痛みに対してバカって言われてもなあ・・・俺どうしたらいいのよさ?

綿谷 でも、僕の人生の中で1番痛かったっすよ!・・・まあ、もう人生終わっちゃったかもしれないけど。

八神 縁起でもねえなぁおい!!そんであながち間違っちゃいないのが辛い!

綿谷 動けたらそのまま帰ろうと思ったのに。

八神 乗っ取られる!!恐ろしい事考えるなあなた!

綿谷 そんな事言っている間にもどんどん体がスケスケなっていってますけど。

八神 うわぁ本当だ。完全に天国へのカウントダウンが刻まれとるじゃんか!

綿谷 どうすんべ・・・あ!ちょっとあれ見てくださいよ!

八神 え?・・・あ、山の頂上から車が降りてくる!

綿谷 待ち伏せしましょう!!

八神 待ち伏せ?

綿谷 この状況を誰かに知らせないと、手遅れになります!だから、あの車の運転手に、僕らの存在を知らせないと!

八神 そうですね・・・でも、こんな街灯もない山道で気付くだろうか・・・?

綿谷 ・・・ちょっと怖いですが、もう1回あの体に入って、出来るだけアピールしましょう!

八神 えぇ〜!?またあの痛い思いをするのぉ!?

綿谷 ここで手を抜いたら死ぬまで後悔しますよ!・・・まあ、もう死んでるのかもしれないけど。

八神 確かにこの状況は死んでるって言える・・・いやいや!まだ死にたくない!復活するぞ!

綿谷 じゃあいきましょう!せーのっ・・・

二人 (スゥー・・・)

八神 ぐあぁぁぁぁ!!!!

綿谷 ・・・。

(ぶぅぅぅぅん・・・)

八神 くっ!!あ・・・!あぁぁぁぁ!!!!!!!!(ズルッ・・・ズルッ・・・)

綿谷 ・・・。

(ぶぅぅぅぅん・・・)

二人 (スゥー・・・)

八神 ・・・行っちゃったぁ!!

綿谷 気付かなかったかなあ!?

八神 いや!多分気づいてたと思うよ!?俺、運転手と目があったもん!

綿谷 マジすか!?それなのに行っちゃったの!?

八神 多分・・・あの表情を見るに、俺達の事を見て、恐怖して逃げてった感じが否めねえよ。

綿谷 完全に化け物か妖怪の類だと思われちゃったじゃないですか!?

八神 まあ、血まみれで呻き声上げてるあげてるわけだから、そりゃあビビるね。

綿谷 新たに事故が起きなければいいんですが・・・

(キキー・・・ドガーン!!)

二人 ・・・。

八神 さっきの車ですよね?

綿谷 ・・・ええ。

八神 言ってるそばから事故が起きたぁ!!え!?なになに!?これって俺達に非はあるのかな!?

綿谷 いや無いでしょ〜!いくらなんでも!僕達勝手に死にかけてただけですよ!?

八神 人生においてその言葉使う機会そうそうないですよ?

綿谷 まあ、僕も人生最初で最後の発言になると思いますよ。

八神 助かろうが助からなかろうがそうですね・・・いやいや!助かる方法!何か考えないと!

綿谷 次にここを通りかかった人の体を乗っ取るっていうのはどうでしょう?

八神 それ一番やっちゃダメだろ!?乗っ取り好きだなあなた!・・・まあ、1件事故を起こしちゃったから何とも言えねえけど!仮にそれやったとしても俺達の体は助からないべ!

綿谷 第2の人生を歩むしかないのか・・・あ!車が来た!・・・サイレンの・・・音・・・?

(・・・ピーポーピーポー)

八神 き、救急車だ!何でこんなところに!?

綿谷 きっと僕らを助けに来てくれたんですよ!

八神 通報もしていないのに!?・・・でも良かった・・・これで一件落着だ・・・。

(ピーポーピーポー・・・)

二人 ・・・。

綿谷 行っちゃった・・・・。

八神 え!?何で!?え!?素通り!?何で!?

綿谷 ・・・多分・・・多分何すけど・・・さっき僕らを見て事故った車の人を助けに来たんじゃあ・・・。

八神 ・・・俺ら助かんねえのかよ!

綿谷 だって、誰も僕らの事発見してくれてませんからね・・・。

八神 何て皮肉!俺達が助かっていればあの車も事故を起こさずに済んだのにそっちの人の方が先に病院に行くだなんて!

綿谷 ・・・あ、それでもあの救急車って元来た道を通ると思うんでそこで気づいてもらえれば助かるかもしれませんね。

八神 な、なるほど!二人の透明度具合的にもこれがラストチャンスっぽいな!よぉ〜し・・・それじゃあ俺、行ってきますよ!

綿谷 天国に?

八神 違えよ!体に戻るってこと!もう痛みとか気にしている場合じゃねえ!何が何でも救急隊員を止めてやる!

綿谷 分かりました!それじゃあ僕も!

八神 ・・・いや、俺だけでいいですよ!動けるの俺だけみたいだし・・・!

綿谷 そうですか・・・すみません、お願いします!・・・お逝きなさい。

八神 その言葉で送り出すな!兎に角行くぞ!

(・・・ピーポーピーポー)

綿谷 あ、来た!

八神 うらぁ!!!!(スゥー・・・)うぎゃぁぁぁぁぁ!!!がぁぁぁあ!!!あ゛ぁぁぁぁぁぁ!!!(ズルッ・・・ズルッ・・・)

綿谷 ・・・!止まった!

八神 (スゥー・・・)だぁっ!!!あぁっ!!!はーっ!はーっ!!・・・っしゃあ!!!

綿谷 す、凄い悲鳴でしたね!見てください!降りてきた救急隊員真っ青ですよ!

八神 一回出てこないと気絶するぞこれは・・・そ、それでも良かった・・・あ!中に残った隊員が無線とってますよ!

綿谷 多分、他の救急車を呼んでくれているみたいですよ!

(・・・ピーポーピーポー)

八神 あ!言ってるそばから!っていうか病院近いな!

綿谷 そうですね〜・・・まあ何はともあれこれで、病院に行けますね!一時はどうなるかと思いましたけど、良かったですね。

八神 えぇ、本当に。

(ピーポーピーポー・・・)

八神 ・・・あ、俺達も病院行かないと・・・。

綿谷 そうですね。体に戻るタイミング見計らわないと・・・。(シュパー)

八神 あ!ちょっと待って!いかにも霊的な移動をしていった!・・・しっかし、あの人の体大丈夫だったかな・・・直視できなかったけど、顔もぐしゃぐしゃだったし・・・取りあえず追いかけ

?? あの、すみません・・・。

八神 はい?え?誰?ってか俺の事見えるの!?

?? あの、僕さっき車に撥ねられたみたいなんですけど・・・。

八神 ・・・え!?

?? それで、僕の体と、あなたの体・・・透けてるし足が無いんですけど・・・何か覚えないでしょうか・・・?

八神 ・・・乗っ取ってた!!





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